春色のシンプルな無地感の小紋に
品の良い染帯
遊び心を感じさせてくれる薄羽織り
桜色の帯留・・・
僕は仕事柄
たくさんの入学式を見に行ってますが
今だかつてこんな着姿に出会った事がありません。
着物姿のお母様は沢山見かけるのですが
「着こなし」を楽しんでるように見える人は
残念ながら・・・
着物を着て下さってる
この事実はもちろん嬉しく思います。
只やはり
「着飾る」という楽しみ方
プラス「着こなす」という、もう一つの着物の楽しみ方
是非とも知って頂いたいです。
着る前に着方(帯や小物の組み合わせ)
スタイリング等色々とオシャレを考える

その時間の楽しさ!!
それらを披露し
小さな視線をたくさん感じる

あの楽しさ!!
そう、きもの本来の楽しさの事です。
豪華な着物を「着飾る」楽しさとはとは又違う、
もっと内面からくる奥深い、そして壮大な楽しさです。
現在ほんの一握りのきものユーザーだけが
この楽しさを知ってます。
ここ数十年
県内呉服店の販売スタイルは
とにかくフォーマル中心!
それだけ婚礼の需要があった
全国的にみても恵まれた地域でした。
特に「持つ」という価値観
お嫁入りのお支度に「揃える」とういう考え方が主流の地域
「コーディネートを楽しむ」という
もう一つの着物の良さや楽しさを伝える部分が
少しおろそかになっていたのかもしれません。
フォーマルを中心に取り扱う方が
当然売上と利益が確保できた時代で
そこを中心に営業するのはある意味当然でした。
ですが「揃える」「持つ」といった
言い方は悪いですが、お道具的な捉え方
それを押し出した販売スタイル
その積み重ねが、多少なりとも
今の入学式の着物の着方に影響してるのかもしれません。
先日の京都出張で
ホテルのロビーラウンジにいた時でした。
日が良かったのか
結婚式のため素敵な女性たちがドレスを身に纏うなか
着物の方がお一人おられました。
藤色のシンプルな訪問着に
これまたシンプルな糸錦の帯。
振りから少しのぞく長襦袢は着物より少し濃い紫系。
おそらく30代前後のスラッとした女性。
通常のバックではなく
見たことのないような素敵なバック(洋装?)を持ってます。
かなりセンスが良いです。
着物の仕事をしてるので
少し贔屓目に見ているのかもしれませんが
どんなに高級そうな凝ったデザインのドレスでも
それが霞んで見えるほど美しく見えました。
男性の僕としても
目を奪われたことは言うまでもありません。
「着飾る」と同時に
彼女は完全に着物を着こなしてました。
そして彼女は
その場、その時をどれだけ楽しんでいたのか
男性の僕には計り知れませんが
想像は出来ます。
さぁ来月は
入学式があります。
着こなしてる人に出会えることを期待しつつ
いつか将来は
そんな着方、楽しみ方が主流の時代になったらいいなぁって
やっぱり思いますね。
それでは・・・